新婚の定義──嘘つきな君と僕──
出港して、船がゆっくりと動き出した。

方向転換した船は、広い海へと進む。

ユウとレナは窓から見える景色を見ながら、おいしいケーキと紅茶で、船上のティータイムを楽しんだ。

「神戸って初めて来たけどすごく楽しいね。」

「うん。また二人で初めての経験できたな。」

「私たち二人だけ、こんなに楽しんで良かったのかな?」

「いいんじゃない?これはアイツらの気遣いだから。逆に楽しまないと申し訳ないよ。」


お茶を終えた二人はデッキに出て、海風を感じながら海とその向こうに見える景色を眺めた。

「今日は時間的に無理だけど、今度は山手の方にも行ってみたいね。」

「異人館とか?」

「うん。他にもいろいろ。」

「レンタカー借りてまわるといいかもな。オレもレナと一緒にいろんなとこ行ってみたい。」

二人で肩を寄せ合って海を眺めているうちに、船は港へと戻ってきた。

「あっという間だったね。」

「ティータイムクルーズだしな。ディナーとかランチのクルーズもあるらしいけど、それは人気あるから予約しないと無理だって。チケット買った時、ティータイムも残り僅かだって言ってた。」

「じゃあ、乗れてラッキーだったね。すごく楽しかったから、余計に時間が経つのが早く感じたのかもね。」

「そうだなぁ。だったらオレ、レナといると、あっという間に歳取るんじゃないか。」

「二人とも毎年同じ日にひとつ歳取るんだよ。ユウがオジサンになったら、私もオバサンだから、いいんじゃない?」
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