新婚の定義──嘘つきな君と僕──
レナを誰よりも愛してくれるユウに対して、不満と言うほどでもないけど、なんとなく心に引っ掛かる、小さなしこり。

(こんなにユウが愛してくれてるのに…私、贅沢…?これって…単なる、私のわがまま?)


結婚したからと言って、いきなりなんでもわかり合える夫婦にはなれない、と思う。

そうなるにはどうすればいいのだろう?

一緒に時を重ねて行くしかないのだろうか?

思ったことをなんでも話せば、夫婦としての絆は強くなるのだろうか?


(でも…こんなこと、言いづらい…。)

夕べはユウに尋ねられて“いつもこんなだと少し困る”と答えたものの、レナはそのことが少し気になっていた。

レナに嫌われることや、レナが離れて行くことを、ユウは何よりも怖がる。

レナを想うあまりに、ちょっとしたことで不安になり、悩み込んでしまうユウ。

生後間もない頃に母親に置き去りにされた自分の生い立ちを知っているユウは、いつかレナも自分を捨てて別の誰かの元へ行くのではないかと不安がっていた。

(あんまりユウを不安にさせちゃ、ダメだよね…。今日は帰ったら、いつも通りに笑って話したり…いつもみたいに“ユウ愛してる”って、ちゃんと言おう。)

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