自惚れ男子の取説書【完】

「今日は休みだろ?なんで仕事の連絡なんて来るんだよ。どうせ明日仕事なんだし」

「そうなんだけど…私の受け持ち患者さんだから、知らせてくれたんだよ。ごめんね?」

久しぶりに会えたのに。一気にピリッとした空気になってしまい素直に謝る。それでも仕度を止めない私に、彼はわざとらしく深いため息をついた。


「もう遅いんだから止めとけよ。それに…どうせもう死んじゃったんだろ?」


彼の言葉に自分の顔から表情が消えていくのを自覚した。


”この人とは分かりあえない”

そう悟った瞬間だった。

看護師という仕事に誇りを持っていたし、ツラい中にやりがいを見出だしていた。私にとって、患者さんを見送ることも大事な仕事の1つだ。

そんな私を応援し支えてくれると思っていたのに、そんな想いは呆気なく崩れてしまった。
その事がきっかけで彼とのすれ違いは続き、結局別れてしまった。

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