自惚れ男子の取説書【完】
ピーンポーン
インターホンから電子音が鳴り響く。
「…ったく。誰だよ」
土曜日の朝、ようやく9時になろうかという時間。小田さんにも予定のない訪問なのだろう。チッと軽く舌打ちすると、手にしていたワンピースとカバンをソファに置いた。
不機嫌に寄せた眉は、モニターを見て更に深くなった。そのままガッと乱暴に応答ボタンを押す小田さん。
「もっしもーし、大和?」
「……んだよ」
「良かった、今日は休みなのね。開けてくれる?」
小田さんと話すその声の主が誰か、私にはすぐにわかった。