自惚れ男子の取説書【完】

そんな傷口に塩を塗り込むようなことできっこない。小田さんの傍に美月さんの存在を感じる…それだけで十分に思い知らされたんだから。これ以上は到底堪えられそうもない。

「家から出てくるの見たとか?ヤってる所に遭遇したとかさぁ」

「ちょっと!琴美、いじめんなっ!」

痛っ!と飛び上がると、スニーカーを履いた足をかかえ悶える先生。どうやら美沙が名波先生の足を踏みつけたらしい。
あれだけぐずぐずだった美沙も、先生のお陰か怒りのせいか少し落ち着いたみたいだ。

「いや、どちらかと言うと家に来るのに遭遇してしまった…方でして」

「ほぉ~辻さんってばまさかお泊まり?意外と肉食!」

「んなっ!!違います何もなかったんですって!」

「え、何もなかったの?それはそれでどうなのよ。余程の紳士か、はたまた辻さんの寝顔がよっぽど「うっさいバカ!!」」
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