自惚れ男子の取説書【完】
「お願いだから、琴美まで名波先生に感化されるのやめてよ。この間なんて後輩に、先輩付き合ってどれ位なんですか…って」
がくっと項垂れる美沙には悪いけど、思わず顔がにやけてしまう。
「あはっ、それ先生の作戦勝ちだね。まぁ周りなんて気にしないでさ、美沙の思うようにやんなよ」
くしゃっと頭を撫でると、美沙は恨めしそうに顔をあげた。
「それ、琴美にそっくりそのままお返しするわよ。大体、琴美はもっとわがままになって良いと思う。私をこき使う位にさ自由にやってみなさいよ」
「えっ…それは無理でしょ?怒るでしょ?」
「喩え話よ、喩え!わかんなさいよバカ」
予想通りのお叱りに、思わずぷっと吹き出してしまった。そんな私に釣られるよう、美沙も揃ってくくっと声を殺して笑い出す。
「私が美沙、こき…つかっ!…はっ!くくっ…無理無理、身がもたなっ…ふはっ」
「ちょっと!あんたね、それどういう意味よっ…ぷふっ…」