自惚れ男子の取説書【完】

美沙の激しい否定すら可愛く見えちゃう。名波先生の存在は美沙の中で大きくなってるみたいだ。

ふと時計に目をやると、やがてお昼の2時になろうとしていた。

「よし、んじゃ私そろそろ夜勤行くわ」

「もうそんな時間か。ごめんね、仕事前に時間作ってもらっちゃって」

夜勤明けの私と今日夜勤の美沙は、しばらくすれ違いの勤務だ。とりあえず連絡しておこう、とメールすると早々にこうして時間を作ってくれた。

「いいわよ。それより、琴美も夜勤明けで眠いでしょ?帰って早めに寝なね」

「うん、そうする。さすがに仮眠だけだとツライわ」

夜勤明け、美沙と会うために私も2~3時間しか寝ていない。落ちてしまう前に早く帰ろう。

颯爽と更衣室へと向かう美沙とは対照的に、睡魔を抱えよろよろとした私。それでも気持ちは随分と軽くなっていた。
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