自惚れ男子の取説書【完】
「……と、いうわけです」
ふぅ…と軽く息を吐き妙な達成感と疲労感を味わう。かいつまんで、且つ恥ずかしい所は飛ばしつつ話したもののそれでもだいぶ時間がかかってしまった。
言葉を選びつつしどろもどろな私の話を、二人は黙って聞いてくれた。
じっと遠くを見たまま時折ピクッと反応するだけの美沙に対して、りっちゃんは「うん、うん」と優しく頷きながら耳を傾けてくれた。
こうして自分なりにまとめてみると、何とも呆気ない話だ。
気になる人が出来て、一緒に出掛けて浮かれて…でも実は婚約者がいましたとさ、ちゃんちゃん。
我ながら浅い。人様に相談するにもペラペラな内容過ぎて、何だか申し訳なくなってくる。
自然と寄せた眉。情けない顔をしているであろう私に、りっちゃんは優しく微笑んだ。
「琴美ちゃん、辛かったね。悲しいよね…そんなのって」
優しく労るような微笑みに、鼻先がツンとしそうになる。