自惚れ男子の取説書【完】

「好きな人には幸せになってほしいもんね。まして結婚だなんて…」

「うん…いいんだ、もう。私の独りよがりだったの」


いつからこんな弱くなっちゃったんだろう…それとも二人が優しくするから?


こみあげるのを誤魔化すように、鼻先をわざと乱暴に擦りあげる。
いつもならこんな所で取り乱すなんてありえないのに。情けないので心が折れそうになりながら、零れないよう必死で目に力を入れた。


「ほんと独りよがりよ」

スッ…と刺さるように鋭く美沙が呟いた。

「ちょっ…美沙?」

「だってそうじゃない。散々振り回されといて、勝手に1人で終わらせようとしてるんだもん。ちゃんと…ちゃんと終わらせたいなら、相手を巻き込むぐらいしなさいよ!」

美沙を宥めようとしていたりっちゃんも、美沙の言葉にふっ…と息を飲んだ。
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