自惚れ男子の取説書【完】
「はぁ…あぁーおかし。笑った笑った。それで、なんで律子呼んだかわかったでしょ?」
「え?いや、相談する…ためとか?」
泣いたのか笑い過ぎたのか、よくわからない涙をそっと拭う。
「ちがーう!もう!」
噛み合わない私達にぷっと吹き出すりっちゃんは、何事か思い出したようで。ふと顔をあげると柔らかな視線を向けてきた。
「そういえば小田さん、合コンの時もずっと琴美ちゃん見てたもんね。ふふっ」
「んなっ…!」
まさかりっちゃんまで誰かさんと同じこと言うなんて。
あれはそんなんじゃないと分かっていながら、嬉しいような…でももう喜んでもいられないし。
急に熱をあげた頬。自分を戒めるよう、グラスで冷えた手を自分の頬へ当てる。