自惚れ男子の取説書【完】
「お前、まさかだけどな。まさか……美月と俺が……とか、思ってねぇよな?」
小田さんが言い終わるのを前に、私の肩は盛大に跳ねた。
小田さんにはそれだけで十分伝わったらしい。
途端、力強いだけの目には怒りが滲み。すべて絞りとるみたいに抱きしめる腕に力が増した。
「なんで俺に聞かねぇんだよ!こんの…バカ!」
「だって……こ、怖いじゃないですか!そんなこと本人に言われたら、た…立ち直れないし」
「うっせぇ。お前があり得ねぇ勘違いしたせいで、こっちは散々振り回されてんだ!このバカ!」
「んな!ばっ…バカって言い過ぎです。第一、家に化粧品置いてたりして女の人の痕跡残してる小田さんも悪いんですからね。そりゃ勘違いもします!」
そうだ。何も私だけが悪い訳じゃないはずだ。
用意周到に化粧品なんて置いてさ。正直助かったけど…あれは相当傷ついたんだから!