自惚れ男子の取説書【完】
いや……本当に面倒なのは俺の方か。
『ムカつく』とか『面倒だ』とか。適当な言葉で隠して、結局俺がこいつにかまいたいだけで。
今までの自分とはかけ離れた情けない姿。
あまりに幼稚な自分の思考に思わずため息をつく。
「まぁ…お前なら……な。いいかと思ったんだけど」
今までの俺を乱すこいつ。でもそれがどうしてか悪くない。妙な心地よさすら感じるなんて。
こいつとふたり…それなら悪くないと思える。
「えっ……な」
「もう黙れよ」
俺に乱されすっかり涙目になったその瞳と視線を絡める。ソファーに広がる髪を撫でると、その顔がふにゃりと緩んだ。
思わず目を奪われていると、ふわっと柔らかなものが唇に触れる。
不意をつかれかたまる俺と、へへっとはにかむ彼女。
全く……こいつには勝てない。
こうして手のひらで転がされるのは結局俺の方。それもまぁ悪くない。
彼女の心地よく温かい手の中、ようやく俺たちは始まりを迎えた。
*END*