自惚れ男子の取説書【完】

【番外編】

PV400万突破ありがとうございますm(__)m
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【番外編】クロス


「なぁ、おい」

「………」

「おい、聞こえてんだろ?」

「………」

この一方的なやり取りを続けて数分。すっかり曲がりきった私のへそはますます頑固になっていた。

「いい加減機嫌直せって」

「はい?何がですか」

膨れっ面のまま振り向くと、珍しく困ったように唇を噛む小田さん。いつもなら『変な顔』とか言ってからかうくせに、今日に限ってはそんな余裕もないようで必死の形相だ。

小田さんの家に居る事にもすっかり慣れ、今では我が家の鍵を使う事の方が少なくなった。持ち込んだお気に入りのクッションを羽交い締めにすると、恨めしい顔で小田さんを見上げた。

事の発端は昨日のお昼、私が夜勤に行く前の出来事だ。
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