自惚れ男子の取説書【完】
逃げるように去る松山さんの背中にそう叫ぶと、ふんっと腕を組み雑然とした一角に目をやった。
全く…みんなしてたむろってるな。
見れば空き缶の数々に吸殻が沢山刺さっている。恐らく、松山さん以外にも患者さんがここに通っているのだろう。
院全体が禁煙のご時世、喫煙者には肩身の狭いのが現状だ。
火事にでもなったら洒落にならない。
ふぅっと軽く息を吐くと、せっせと土にまみれた空き缶と吸殻を拾い集める。
病棟に戻ったら、主治医からまた松山さんに一言言ってもらわないと。
さっきの悶々とした気持ちはさておき、一瞬で仕事モードへ切り替わる。