もう一つのダイヤモンド
よし、言おう。

頭を上げて、先生のネクタイの辺りを見ながら声を出す。

「あの、写メ撮ってもいいですか?」

「は?……写メ。」

先生には写メと言われたことがあまりにも唐突だったようで、驚いている顔と声は新鮮だった。

そんな顔を見られるたことに、いたずらが成功したような気持ちになって、ポケットからスマホを出した。

「先生の白衣姿撮りたくて。」

毎日、白衣を着ていても、その写真を撮る機会はほとんどない。

私自身、三年働いていても、薬局の先輩の結婚式の余興用に写真を撮ったくらいしか覚えていない。しかも、手元にないし。結婚式や飲み会のときの写真は何枚かあるけれど。

ましてや、先生の白衣姿の写真はなくて、思い切ってみた。

本当は術衣姿も撮りたかったけど…

先生は、年度末で週末に引っ越しを控えているから、土日を休むため、今日当直だった。いつもなら、外来の後、当直という勤務はないから、外来は当然白衣だけど、ひょっとしてと期待してたけど、やっぱり白衣だった。

でも、白衣でも十分。

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