冷たい彼-初恋が終わるとき-
「私達はお互いを利用しようとしたの。好きな人を忘れたくて。だから、」
「付き合い始めたのかい?」
「う、ん」
相変わらず声のトーンが変わらない落合君が怖い。
「なるほど、ね」
何かを考え込む落合君。愚かとでも思ってるのかな。
保身のためだけに関係を結ぶ、なんてふざけているにも程がある。他人からすれば、それは良識から外れて滑稽だと思う。
でも、あのときはそうしなければ安定を図れなかったから。寄り添わないと、足場が崩れてしまいそうだった。