冷たい彼-初恋が終わるとき-
「…芽生に何された?」
満足げに立ち去った落合君を見届けてから、桐生君は不機嫌そうに問う。
「え?」
「…庇うなよ?本当の事を言え。アイツに何をされた?」
何も庇ってるわけじゃない。何を、と言われても困る。本当に何もされてない。ただ私が感窮まって勝手に泣いただけなのに。
「あの、心配してくれるのは嬉しいんだけど、落合君には何もされてないよ?勝手に私が泣いちゃっただけなの」
「…ああ、芽生に脅されたか?あの芽生だからな、有り得る」
「う、疑い深いよ、桐生君」
お友達は信じてあげようよ。
それも幼なじみなんだから。
落合君はあんなに桐生君に大して親身だったのに何でだろう。桐生君は顰めっ面で不貞腐れている。