冷たい彼-初恋が終わるとき-
「悲しいか?」
「…そんなの、」
当たり前だ。
悲しくないわけない。
寧ろーーー
「悔しいか?」
「…くや、しい」
悔しいんだ。
醜い感情がどろり、と溢れる。
どろどろ溢れて止まらない。
「…っや、」
胸中でどぷり、と音がした。
嫌だ。
こんなの、嫌だ。
なんて醜いの。
誰かの不幸を願うなんて。
それも小田切君と如月さんの。
微笑み合っていた二人が黒く塗り潰されていく。