冷たい彼-初恋が終わるとき-
目眩に襲われて両手で顔を覆っていると、強い力で両手を引き剥がされた。手を握られたまま後頭部を引っ張られ、気が付けばーーー
「っんン!」
唇が、彼の唇で塞がれていた。
いきなりのことで気が回らずただ酸欠状態で桐生君にしがみつく。
「…っや…ん…!」
「…」
「…ンあっ…やめ…っ」
止めてと抗議しようとすれば、少し開いた口の隙間から舌が割り込んできた。彼の舌先が歯をなぞり、私の舌を探す。触れた瞬間、ぞくりと体の芯から震えた。
「…っふあ…っん…」
「…カスミ」
「…や…っんンン…!」
彼の色っぽい吐息をきき、また体が震える。
荒々しいキス。強引で、唇を求める獣のよう。なのに壊れ物を扱うように私に触れる。髪に通された指は優しく、まるで包み込まれるよう。その指先にまた私の中の何かが疼く。