ご近所さん的恋事情
ちょっと見せる?どうやって?家に上がらないと見えないだろう。下心丸見えだ。

瑠璃子は前々からこの男が苦手である。しつこいのだ。今でもしつこい。何度断っても諦めないのは、根性があるのではなく、しつこい…ただそれだけだ。


「いいから、行こう。まずコンビニにでも行って、ビールでも買おう」


ちょっと見せるだけで、どうしてビールを買う?

背中を押されるけど、瑠璃子は動こうとしない。


「一人じゃさ、寂しいでしょ?慰めてあげるから」


耳元で囁かれて、鳥肌が立つ。


「やめてください…」


小さい声で必死に拒否する。そして、距離を開けようと後退りする。


「ん?なに?おつまみになるものも買う?」


聞こえてないのか、また近付く。


「ほらほら、どんどん遅くなっちゃうからさ、早く行くよ」


今度は肩を抱いてきた。男はどんどん大胆になってくる。
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