ご近所さん的恋事情
あの頃の自分があって、今の自分がある。あの頃の恋愛がうまくいっていたら、マンションを買うこともなかったが、渉と出会うこともなかった。この町に引っ越してきたことで出会えた。

良いことも悪いことも含めて今がある。


「瑠璃子ちゃん、覚えておいてよ。今夜のこと、俺は絶対に忘れないから」


執念深そうなこの男…苦し紛れの脅し文句を言う。気にすることなんてないと思いたいが、同じ会社に勤めているから厄介だ。

会社で攻撃されたら、どう対処すればいいのだろう?

男から離れられたことを手放しで喜べなくなった。ちょうどホームに入ってきた電車に乗っていく後ろ姿を見る瑠璃子は少し青ざめていた。


「瑠璃子さん、大丈夫?」


「うん…。渉くん、ありがとう。助かった。あの人、しつこくて…」


「うん、しつこそうだね。何かされたりしたらいつでも言って。俺、婚約者だから。あはは」


瑠璃子の不安を少しでも解消したいと思い、おどける。
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