ご近所さん的恋事情
渉は、10分で出た。20分くらい待てば出てくるだろうか。上半身は何も着ないでベッドに入り、瑠璃子を待った。

10分…スマホをいじって待つ。20分…そろそろかなと身構えて待つ。30分…何も着てない上半身が冷えてきた。布団を掛ける。

45分…やっと待ち人現れる。

が…遅かった。


「わ…たるくん?寝ちゃった?」


布団を掛けたことで、温かさを手に入れた渉は睡魔に襲われ、勝つことが出来なかった。

瑠璃子はサラサラの髪を撫でて、渉の横に体を滑り込ませた。


「キャッ…」


上半身裸だとは思わなかったから、驚きの声が出てしまう。この声で渉が起きたら、どうしよう。瑠璃子は口を押さえた。渉の眠りはもう簡単に起きないほど深くなっていた。身動き1つもしない。

素肌に触れるのは恥ずかしいけど、隣に寝るとどうしても触れてしまう。瑠璃子は広い背中に体を横向きにして、そっと手を付けた。そして、肩に近い部分にそっと口付ける。


「おやすみ」


1つのベッドで二人は穏やかに眠った。
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