ご近所さん的恋事情
葵に突っ込まれて、一瞬口ごもったが、勝手な開き直りをする。


「本当に渉は、葵のことになると、異常なくらい心配するわよね。でも、それだけ葵のことがかわいいから心配するのよね。ふふふ」


母親が間に入って、微笑ましい妹愛に笑う。

渉は、リビングの壁時計を見て時間を確認した。瑠璃子とは焼き鳥屋で待ち合わせているのだ。


「そろそろ行かないと。行ってきます!」


「お兄ちゃん、私も駅まで行くから一緒に行こう」


「わざわざあんなのを迎えにいくのか?」


まだ不平を並べる。葵はジロリと渉を睨んだ。


「お兄ちゃんはいつからそんなにうざくなったの?」


うざい…その言葉は渉の胸に突き刺さる。葵には好かれていると自負していた。だから、こんなふうに言われたのが初めてのことでかなりのダメージだ。

何も言い返さない渉に葵は近付いて、腕を組む。うざいは言い過ぎだったのかもしれない。そっと渉の顔色をうかがう。
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