狂犬の手懐け方


「お前、また校舎壊したのか」

声で判断する。
さっき犬塚を連れていった教師ではなく、ちゃんとした生徒指導の教師だ。名前は巻島。

「また樹のせいか?」

「今日は違う」

また、というのは、樹との喧嘩で何度もガラスやらを壊したからだ。それは俺も知ってる。

「ならどうして?」

「別に」

巻島は呆れてため息をついた。
俺は、どうして女子達に絡まれていたことを言わないのか疑問に思った。
言えば正当防衛になるかもしれないのに。

「まぁ言いたくないならいい」

「弁償、いくらかかる?」

「まぁ…三十万ってとこかな」

「……払う」

「嘘つけ、払えないくせに。
ま、学校でなんとかしてやるよ」

「……アリガトウゴザイマス」

篠原はまたしてもグイッと俺の腕を引く。

物陰に隠れた時、中から犬塚と巻島が出てきた。

危ない。盗み聞きしてたなんてばれたら俺の名誉に関わる。
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