狂犬の手懐け方
「いい子だと思わない?」
篠原は教室にいる時の綺麗な微笑みではなく、悪戯っぽく笑った。
「あの子すごくわかりにくいけど本当は優しいんだから。
怒りやすいし乱暴だし馬鹿だし単純だし鈍感だけどね」
私とは違う、と篠原は付け加えた。
「壁とかはよく破壊するけど、実際人に手をあげるのは少ないのよ。相馬以外にはね。
それに責任感も強いし。あんな風に絡まれてもちゃんと恋人のふりをしてるでしょ?」
言われてみれば、と思った。
篠原の言葉にはよくわからない説得力がある。
嫌いならそもそも相馬に付き合う必要もない。なのに付き合っている。
それにさっき、犬塚は罪を一人で被ろうとしてるんじゃないのだろうか。
「ね、いい子でしょ」
俺は篠原の言葉に頷いた。