元カレ
私が暗い話をしたせいで、少し重い空気が漂った。
「玲奈ちゃん!よかったら、連絡先交換しようよ」
先に沈黙を破った彼は場の空気を変えるように、明るく言った。
「僕でよかったら、相談に乗るから。困った時、いつでも連絡してきてよ」
「……いいの?」
「うん。こんなに弱ってる玲奈ちゃんを、放っておけるわけないじゃん」
私達は特別親しい間柄ってわけではない。
甘えるなんてズルイ、都合が良過ぎるかもしれないけど……。
「ありがとう……」
精神的に弱ってる状態で優しくされたら、つい甘えちゃう……。
私はパーカーのポケットに入れていた携帯を取り出して、村田くんと連絡先を交換した。