『僕の思い、君の願い』
「私、お布団出してくるよ。まだ眠るでしょう?」
起き上がろうとする彼女を制するように
「僕が出してくるから。君はここで待っていて」
と言うと、僕はむっくり起き上がった。
「僕がワガママを言ったせいで、君の朝まで寒いものにしてしまったね?」
ベットに座り、彼女を見ると
「ワガママ?」
まだまだ眠そうな彼女の姿。
「僕には大好きな温度があるんだ。その温度でいつも通りゆっくり眠りたかったんだけど、今朝の温度を推測し損ねてしまったよ。
折角の土曜日なのに、本当にゴメンな」
僕は彼女に背を向けて、少し照れながら謝ると、隣の部屋の押入れから少し厚めの布団を出してきた。
そして二人でそれに包まると、
「温かい!」
と、やっぱり二人で笑った。
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