続・生意気毒舌年下男子
「大丈夫ですよ。内山先輩、慎。
僕らも今来た所ですから。ね、幸来」
「ふぇ!?」
眩しいほどの笑みを浮かべながら、二瑚はあたしを見る。
あたしは何とも間抜けな声が出た。
「そうなの?
でも本当にごめんね!」
「ごめんなさい!」
「3分何て遅刻に入りませんよ。
内山先輩も慎も、面白いですね」
鈴のような声で笑う二瑚は、品行方正な美少年そのものだった。
雫と慎くんは思わないだろう。
まさか秒単位で遅刻をなじっていたなんて。
普段は生意気で上から目線の超毒舌少年だなんて。
そんな気配を微塵も感じさせないんだから、二瑚は恐ろしい。
まるで、誰か別の人格が乗り移ったかのように、あたしには見えていた。
「…どうしたの幸来ちん」
「幸来ちん先輩?」
「……い、いや、何でもない………」
「どうしたんですか幸来」
「何でもないです!
じゃあ、早く行きましょう!!」
歩き始めたあたしを、二瑚がグイッと引っ張った。
そして、先ほどと同じく眩しい笑顔を浮かべた。
「そっちじゃねーよ幸来。
方向音痴なら、方向音痴なりに、大人しくついてこい」
…やっぱり二瑚は、毒舌だぁー!