噎せかえる程に甘いその香りは
チラリと葵さんを伺えば、葵さんは固まっていて
……やっぱり重かっただろうか。
途端に臆病になった私は咄嗟に俯いて「スミマセン。今のは忘れて下さい。」と呟く。
それに、我に返った葵さんは「ああ…いや…」と口ごもった。
「…や、それ…たった今仄に心変わりしましたって言ったばかりの俺としては非常に複雑なんですけど。…あれ?これひょっとして遠まわしに振られた訳じゃない、よな?」
………………。
あ。
「ち、違っ……そういう訳じゃ、あの…」
一人の女性をずっと想い続ける葵さんに惹かれたのは事実だけど、私の立場からすればやっぱり心変わりしてくれたんだとしたら嬉しい事で。
永遠の愛を証明するに至らなかったけれど、だからってガッカリしたとかそんなんじゃなくて…
ああ、もう。
気が急いて上手く言葉がまとまらない。
がしっと肩を掴まれ、驚いて顔を向けると真剣な顔をした葵さんと目があった。
「あのさっ、たった今心変わりしたって言った俺が言っても信じられないかもしれないけど、変わらない自信あるから。仄をずっと愛する自信、俺はあるから。仄がずっと一緒に居てくれるなら、俺は一生仄を愛し続ける。」
ずっと…一緒に……?
突如はっとした葵さんの顔が見る間に赤くなり途端に慌てだした。
「ぅわ…これじゃプロポーズ。いや、ちょっと待って、違うから。ああっ、や、言った事は嘘じゃないけど!っ、プロポーズは時が来たらもっとちゃんとしたの言いたいから……って、今の言葉がちゃんとしてないとかじゃないんだけどもっ…」