噎せかえる程に甘いその香りは
うろたえる葵さんが次第にぼやけて行く。
「…仄」
ぽたぽたと涙を零す私の頬に温かい手が添えられた。
その手に私はそっと触れてみる。
「…ても、いいですか?…ずっと、私…葵さんの傍に居ても、いいですか?」
昇華出来ない愛を慰め合うでもなく、期限付きでもなく
貴方の傍に居てもイイですか?
伸ばされた腕に私の体がぎゅっと抱きこまれて
「居てよ。ていうか、居てくれなきゃ困る。俺はもう仄を手放せそうにないしな。」
甘いばかりの言葉がキスと共に注がれた。
本当に?
本当に?
本当に?
臆病な私に甘いキスが答えてくれる。
大丈夫、彼なら…彼の愛なら信じられる。
触れるだけの口付けが何度も角度を変えてどんどん深くなっていく。
すっと離れた唇が首筋に埋もれて、そのくすぐったさに身を捩る。
「ぁ…葵、さん…」
「いいね。これが仄の香りか。覚えとこ。」
そんな事言われて恥ずかしくナイ女子はいるのだろうか。
「な、なんかそれ、嫌です。今日は変な汗も掻いたっていうのに…せめてシャワーを浴びた後にして欲しい。」
「可愛い事言うね仄。今まで散々裸も見せ合ってるのに。何なら風呂、一緒に入る?」
「そ、それとこれとは話が別です。絶対イヤですから。」
クスクス笑う葵さん。
からかわれてると知って私は少し詰るように彼を睨む。
