やっと捕まえた。

時間を共有

専務…坂口直人。
なぜ、秘書なんぞに?
お金持ちの僕ちゃんの考えている事は
わからない。
第一秘書の高井さんから聞いた。
4年間の留学、他社での経験を経て、
この会社に。
cozy.coの跡継ぎだと。


専務室のドアが開き、「支度しろ!
取り引き先へ同行してもらうから」

「あの〜。右も左もわからない様な、
ワシが?」
「ワシって、お前…オヤジか⁉︎」
お腹を抱えて笑ってる

「高井!」そんな声に、
クールな高井さんに戻った。


私は、頼まれて用意していたデザイン画と、資料を慌てて
買って頂いたプラダのバックに
入れて、履き慣れないヒールで
転ばないように、
抜き足差し足で
エレベーターまで歩いた。


高井さんが、「変な歩き方しない!」
あちゃー。
怒られてちゃった。

地下駐車場に向うと、


いかにも高級車というものが

横づけされた。

運転主? イヤ? 高井さん…。

ドアを開けて乗るよう促す。


「失礼…しま…す。」
走り出す車の中で
専務が聞いてきた。
「笠原!新しいプラン目を通したか?
お前は、どれが一番いい?」

感じたままを話せと言われ。


「どれも、面白くないです。キッチンなんか特に、使い勝手にばかり気を取られ
センスなさ過ぎ。わたしなら、

キッチンの照明も蛍光灯とかじゃなく

移動レールを付けてダウンライトの様に
灯りが落ち着く感じと、作業しやすい
LEDの灯り。
ライト本体が
前後左右に角度を変えて使える様に
します。コスト面で考えるなら
自動のリモコンをあえて使わずに
備え付けで引っ掛け棒を用意して
それで自由に遊び感覚。を取り入れますね。

「そうかぁ〜。ならその辺を
プランを出して来た内装企画の奴らに
提案してみたらどうだ?

うちは、秘書の仕事もするし、
企画の中身に介入して意見する事も
仕事なんだ。」

「そうなんですか。
秘書は、上司の仕事のフォローだけで、現場への介入はしてはいけない事だと
それぞれの部署内でやると思ってました

「仕事を取って来るのは、営業、
それを、詰めて、企画し提案するのが
企画デザイン、それはあくまでも、形なんだ。
それぞれが感じた感性は、
誰が意見しても構わないと俺は、思う。

最終地点が、お客様の満足になれば。

なんだか、この人、坂口直人
すごい人だと思った。
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