ハッピー☆ラッキー
「この大会が終わる頃には亜子と千尋がキャーキャー言われるようになるよ、きっと」
そう、中学で全国優勝した頃とは比べ物にならないくらいにふたりは成長しているから。
ブランクのあるわたしなんて、本当に怪しいものだ……。
しばらくして、搭乗案内のアナウンスが入り、
「はい、みんな行くよ!亜子、千尋、ナナが逃げないようにサイド固めて!」
キャプテンの美帆がわたしのスポーツバッグを持って搭乗ゲートへと向かう。
亜子と千尋がわたしの脇を固めると、ニヤリと笑って、
「先輩行きましょうか?」
「ここまで来て逃げられると困りますからね~!」
美帆は振り返り、わたしを見ると、意味ありげな笑みを浮かべて、
「OK!そのまま連行して」
全く3人で遊んでいるんじゃないよ……。
「わたし、ナナ先輩とまた一緒にバレーができて嬉しいです」
亜子がわたしの右腕を取ると、
「わたしだってナナ先輩とまたバレーができて、本当に幸せ!」
負けじと千尋も左腕を取った。
長身のふたりに挟まれたわたしは連行された宇宙人のようで、すっかり注目の的に……。
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