私だけの魔法の手。



「分かった……じゃあ、試させて?」
「え?」
「こっち……試して…癒されたら絶対OKして?」

いい?って聞かれて訳も分からずに頷けば、訂正は効かねぇからな、と念を押されて立ち上がらされた。






引っ張られてどうぞ、と言われた部屋に足を踏み入れれば。
そこには、普通の美容院の個室みたいな設備。


もうこの時点で、蒼が普通の新人じゃない、って気付いてしまったけど、今更口に出すのは憚られた。





真っ赤な皮のリクライニングチェアーに座らされて、向きを変えて横に倒される。
明かりが落とされて、そっと瞼の上に手のひらをかざされて、瞼を落とした瞬間に、静かに音楽が流れ出した。



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