罰ゲームでヤンキー君に告白されました。


北風の冷たさと大神君に話しかける恐怖を天秤にかけていると、私達の方まで何かふわりと甘い香りが漂ってきた。


「あれ、このにおい」


ぽんぱんぽん、とちょっと抜けた音楽が私達まで届く。
公園の近くに移動販売のパン屋さんの車が停まっていた。


「あ、パンだ。おいしそう」


本当だったらえみと帰りにメロンパン食べて、今日は夜までのほほんとする予定だったのに。
どうして私ヤンキーの隣に座ってるんだろう。


ぼやっと宙を見つめていると、またもや意外なことを言い出した。


「食いたいのか?」

「えっ?」

「食いたいのか、メロンパン」

「いえ、えっと、あの……」



あのメロンパンはおいしいから好きだけど。


「食いたいのかって聞いてんだろ!」
怖っ!


龍也君、ちょっと短気じゃない?
もっと牛乳飲んだほうがいいよ。チーズも食べたほうがいいよ。
とはもちろん言えない。


「は、はい、食べたいか食べたくないかどちらかと言われれば食べたいような気がしてきました」

「はっきり言えよ!」

「食べたいです!」


そう答えたと同時に、彼はのしのしと歩いていった。
龍也君、どこに行くんだろ。

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