罰ゲームでヤンキー君に告白されました。


その言葉に、何か冷たい物を押し当てられたような感じがした。



星乃先輩と龍也君が……別れた?



私はぶんぶん首を振って否定する。


「ただの噂だよ、そんなの。だって別れる理由がないし」

「それなんだけどさ」


えみは言おうかどうか、一瞬迷ってから。
眉をさげ、困ったような顔で呟いた。


「大神、ハルのこと好きになっちゃったんじゃないの」

私は思わず立ち上がり、叫んでしまう。


「あるわけないよっ!」

「ちょっと、ハル!」

「……ごめん」


周囲から何だ何だ、と視線が集まっているのに気付き、すとんと席に腰をおろす。


「ハルにまだ気持ちがあるなら、がんばってみてもいいんじゃない?」

「でも……」


結局はっきりした答えが出せず、もそもそとお弁当を食べた。



「ま、別に焦る必要もないんじゃない? 
また向こうからなんか言ってくるかもしんないし」

「うん」



それからチャイムが鳴って、授業が始まってからも私はずっともやもやした気持ちだった。





えみの言葉が何度も頭の中を渦巻く。



『ハルのこと好きになっちゃったんじゃないの?』


……まさか。


シャーペンをカチカチとノックし、溜め息をつく。


あの日、抱きしめられた時。
正直、少しだけそう思ってしまった。


だけど、自分の都合のいいように考えているだけな気がする。


だって龍也君はずっと星乃先輩が好きだったのに。
やっとあんなにかわいい人と付き合えるのに、いまさら私なんか気にする必要ないし。



考えても考えても、やっぱり答えは見つからなかった。



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