罰ゲームでヤンキー君に告白されました。
私は言われた通り難しくて進んでいなかった問題集を差し出す。
「ここの問題、よく分からなくて」
すると彼の持っていたシャーペンがカリカリと動いた。
「いいか? まずここに書いてある公式を使う」
「はい」
カリカリカリカリ。
彼の指が、いとも簡単に公式をつむぎだす。
「だからこうなる」
「なるほど」
彼の説明が本当に分かりやすいのにも驚いたけど、数学の問題より気になるのはすぐそばにある龍也君の顔だった。
こうやって真剣な表情だと、幼いっていうかけっこうかわいい。
まつげも長いし、鼻も高いし。
笑うと本当に子供みたい。
女子から人気があるのも納得かも。
得意げに微笑みかけられる。
「……でこういう答えになんだろ?」
「……え?」
確認されて、曖昧に笑う。
全然聞いてなかった。
「お前、ちゃんと聞いてんのかよ!? 昇竜拳かますぞ!」
怖っ!
「俺が勉強教えるなんて、三年に一回くらいなんだからな! 耳かっぽじってよく聞けや!」
「はい、ごめんなさいっ!」
とはいえ全然分からなかった問題が、あっさり解けてしまった。
私は魔法でも使ったような気分でノートを見た。
「龍也君、どうしてこんなの分かるの?」
もしかして、先生よりも教え方うまいかも。
すると彼はあっさりと答える。
「模試の順位三位だったし」
その答えに目がふっとびそうになった。
「さ、三位ーーーーーーーーーーー!?」
「おうよ」
「だって、それって全国で三位ってことでしょ!?」
「そうだけど」
「うちの高校でもトップクラスじゃない! っていうか、全国で三位って」