罰ゲームでヤンキー君に告白されました。


「ごめん、ちょっと忘れ物したから。やっぱり私歩いて帰る! ごめんねえみ!」

「ちょっとハル!?」


自分でも何をしているのかよく分からなかった。


気がつくと、三階に向かって階段を駆け上がっていた。


あれ、龍也君かな。
なんで? 補習とか? 
でも、いつもさぼってる龍也君がそういうのに参加するとも思えないし。



必死に走りながら、戸惑っていた。
今更会ってどうするつもりなんだろう。


そもそも見間違いかもしれないし。
あれからずっと、会っていないのはもちろんメールすらしてないし。


冬休みで、今日学校にいるのは試験を受けた人だけだ。
その人達ももうみんな帰ってしまって、人の気配はほとんどない。


龍也君は試験を受けてなかった。
だからやっぱり見間違えだろう。




誰もいない教室。



いるはずない。
誰もいるはずない、のに。




鍵はかかっていなかった。
ゆっくりと、扉を開く。
電気のついていない、薄暗い教室。




どうしてだろう。




はらはらと白い雪が降る窓を背景に。



龍也君は、教室の真ん中に一人で立っていた。


< 99 / 174 >

この作品をシェア

pagetop