運び屋の受難
運び屋の仕事




「ん…」

朝の眩しい陽射しに目を開く。

「ん…?」

頭に疑問符が浮かんだ。
背中の体温にも、回された腕にも、身に覚えがない。

「おはよ…早起きだね」

耳もとで囁かれる。
ここは確かに私の家。そして私は自分の家に人をあげることはない。
どれだけ酔っていようと、今まで一度もなかった。

「ハルちゃんごめんね。悪気はないんだけど、鍵壊しちゃった」

やっぱり、と思った。

大神トオル。
彼は、わざわざ私が寝ている間に、鍵を壊して侵入してきたらしい。


呆れてため息しか出なかった。

< 161 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop