運び屋の受難


「今日新規の仕事入ってんの」

「え? 知ってるよ」

なぜ知ってるのかは置いといて、話が早い。

「だからトオルさんと遊んでる暇はないんだけど」

「俺と仕事どっちが大切なの?」

「迷うことなく仕事です」

「つれないなぁ」

トオルさんは笑いながら腕を離してくれた。

なにその質問。どこの恋人だ。
それにトオルさんを選ぶわけないじゃん。

私が仕事よりもトオルさんを優先しなきゃならない理由なんて皆無。

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