もしも私がーcasket in cremtion。

「で? いきなり新幹線に飛び乗ったわけですけど、そろそろどこに行くのか教えてくれない?」

 私が不機嫌にそう言うと、三人は顔を見合わせ、靭は苦笑し、永璃は頬杖をついて通路の方へそっぽ向いた。
 答えたのは幟呉だった。

「研究所へ行くんだ。」

「研究所?」

「ああ、我々の元仕事場であり、以前お前に「来い」と言った場所だ。」

 しれっと放たれた言葉に私は絶句した。

「……はあ!?ふざけてんの!?冗談でしょう?」

「俺が今まで冗談を言ったことがあったか?」

「……あるような、無いような?」

 少し考えてから、私は真顔で首を傾げながら言った。

「無いな。少なくとも俺自身では言った記憶は無い。」

「んならね、なおタチ悪いわっ!何で今さらそんなヤバめな所に行かなきゃなんないのよ!?」

「まあまあ、落ち着いて、圭子ちゃん。」

「あんま怒ると肌に悪いぞ、嬢ちゃん。」

 私をなだめようとする永璃と靭を睨みつけると、責めたてた。

「あんた達知ってたんでしょ?何で早く言わないのよ!」

「だって、ねえ?」

 そう靭が言って永璃を見ると「ああ」と頷いて二人同時に平然と言い放った。

「言ったら「行かないわよ」って言うの目に見えてたから。」

(いや、そりゃそうだと思うけど!)

 納得はしなかったが、かなり複雑な心境だ。
 すると続けて靭が

「でも、僕達しか知らない抜け道とかあるから、それ使って行けば少しは安全だし、あの人にはどうしても会わなきゃならないんだ。話したらすぐ帰るし」

 それを聞いてしょうがないのかな、と思おうとしたが

「多分。」

 という言葉が付足され

「多分かい!」

 突っ込みを入れるはめになった。
 すると靭はへへへと笑って、そのままの笑顔で

「圭子ちゃんは僕が守るから。」

 私は驚きながら、そりゃどうも、と軽く頭を下げた。
 ちょっと、ドキッとした自分がいたけど、本当にこの人は自然な女ったらしなんだな、とも思った。

「ねえ、あの方とかあの人って誰?」

 素朴な疑問を尋ねると永璃が答えた。

「ああ、それは、【エリック・H(アッシュ)・ジェファニー】っていう元々俺達が護衛してた奴だ。」

「どんな人なの?」

 この質問に幟呉がそっけなく答えた。

「行けば分かる。」

 続いて靭も

「うん。行けば分かるねえ。」

 と続いて、永璃までもが即座に

「行けばな。」と言った。

 その人と、「行けば分かる」の言葉が気になって、結局私はついて行くことになってしまった。

(上手くはめられた気がするのは否めないな。)とフツフツと思った。


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