もしも私がーcasket in cremtion。

「おかしいな。」

 幟呉が呟く。

「だよね。警備の人が一人もいないなんて。」

 靭が肯定すると永璃が微笑んだ。

「どうやらそうでもないらしいぜ?」

「え?」

――ドカ!

 私の口は「え」のままで止まった。
 なぜって、いきなり私の横の狭くて暗い通路から、大きな影が見えたと思った瞬間、永璃のヒジが飛んで来て、影に命中したんだから。

 私は目を丸くしたまま永璃と影を交互に見た。
 すると永璃が手に持っていた物が目に入った。
 永璃は手に針を持っていた。それは通常の針より、かなり大きかった。

「針(コレ)を使うまでもなかったなぁ。弱っちぃ~。」

 相手を見下ろす。

「ねえ、その針何か大きくない?」

 歩き出した永璃に質問すると、永璃は歩きながら答えた。

「ああ、人体のツボようにデカいのとか小さいのとか色々あんだ。」

「ツボ?」

「そ、俺の腕にはなるべく触んない方が良いぜ、まあ、まず無いと思うけど、毒針が刺さるかもしんねえから。」

「ドッ!?」

 私が絶句すると、先頭の幟呉がある扉の前で止まり、私達の目を見て自分の顔の前で人差し指を立てた。

(静かにしろって事よね?)

 すると幟呉は取っ手に手をかけた。
 私達は左右に別れると、幟呉はおもむろに取っ手を下に引くと、押した。
 ドアがかすかに ギイィ― と音を立ててひらく。

 すると何かに気づいたような顔をして、ズカズカと部屋に入って行った。
 その後に永璃と靭も続いた。私は戸惑いながらその後を追いかけた。

 キョロキョロとあたりを見回すと、その部屋は薄暗く、何かの機械が数台置いてあって、ピカピカと部分的に光っていた。そのまま永璃達の後に続いて歩いていると、白衣を着た人が立っていた。

「エリック!」

 幟呉がその人をそう呼ぶと、その人は驚いたように振り向いた。
 私はその人を見て思わず目を見開いて叫んだ。

「ええ!?あの人が、エリックさん!?」
< 71 / 109 >

この作品をシェア

pagetop