10年の片想い
「ソラとウミもだ」
ソラとウミはキラのように押さえることはしなかったが、ますますお互いの距離を縮めた。
言っておくが、決して2人は同性愛などはない。
こんなことをするのは、お互いだけだ。
「カオリは言わなくてもわかるだろ」
「勿論です」
小さく、カオリはトウヤに向かって頭を下げた。
それを見たトウヤは頷き、再び口を閉じた。
「ボク…嘘なんて、つけないよ」
まるで小さな子どものように、キラは呟く。
相変わらず両手は、両腕を抱きしめたままだ。
「では、凜さんに取り乱すようなことをしても良いんですか」
「良くないだろッ……」
「では、何か良い理由でも考えておきなさい。
それか…自分だけは一体何者なのか言いなさい」
「え?」
「キラさえ良ければ、言っても構いません。
ですが、僕らのことは言わないでいただけますか」
「……」
「それさえ守ることが出来るのなら、言っても良いですよ」
「………言わない。
自分のこと言えば、皆のことも良いそうだし」
「では、黙っておくことですね。
キラ、改めて聞きます」
真正面に座るキラを、カオリは見つめた。