光の世界の住人
「…ぁりがとぅ…ございま…すっ」
わああん、私のバカ~!とでも叫びたくなるような消え入りそうな声。
どうしてここまで重度の内気な性格に育ってしまったのだろう。
私は彼の手の中にあるクマのキーホルダーを奪うように取り、彼が見えなくなるほど遠くまで走った。
どうしてもっとちゃんとお礼を言えないのか。
絶対、感じの悪い奴と思われたに違いない。
今振り返ってみると、さっきの男子高校生は私と同じ高校の制服を着ていた。
「…同じ学年かな」
電車に乗ってからも彼が気になって仕方がなかった。
なぜだか、キーホルダーをずっと握っていた。