コトノハの園で


――


残りの十分くらいは消えてあげます――休憩ももう終了する頃、ひと足先に香田さんは席を立っていった。


「――森野さん?」


「っ、はいっ!?」


余計なことを考えている間に、テーブルの向こう側にいた深町さんが話しかけてくれていたようで。


返事がないことを心配してくれたのか、いつの間にか僕の方へ回り込んで来てくれていた。


「今晩、森野さんはお暇ですか?」


「はい。……話、聞いてなくてすみません」


「気にしない気にしない。――美味しいと教えてもらったお店があるんですけど、行きませんか? あっ、もしっ、今日中に食べなければいけないものが家にあるようなら、遠慮せずそっちを優先してくださいね」


深町さんは、こうやって可笑しな遠慮をすることがある。確かに、食べ物を粗末にするのはいいことではないけれど。


「……」


「どうかしましたか? 私、何か気に障ること……」


「っ、誤解ですっ! いえ、その……僕が、こういうのは、ちゃんと誘わないと……」


スマートになど、まだ一度も成功していない。


けれど、


「片方だけが頑張るとか、そんなの違います。私もまだまだだから、お互いに努力を、ということで」


そう言って、とんでもなく微笑んでくれる。


「あっ――ありがとうございます」


「――こちらこそ」


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