コトノハの園で


「……誰からそんなガセネタを……」


「だってぇ、森野さん、菜々ちゃん以外とあんなにおしゃべりしてるの見たことないもん」


「なかなかに失礼ですねえ。僕にだって、プライベートはあるんですよ」


確かにある。ここに住み込んでいるでもないし、誰にだってあるものだ。


……ただ、それだけのことで、何かあるわけではないけれど。僕には。


「あんなに仲良しなのに? そんな森野さん、あんまり見ないよ?」


「仲いいかは……。それに、職場ですから、そう始終お喋りに興じるわけにはね。お姉さんとかとも」


「ここでいつもふたりだけだよ?」


「偶然会うんですよ。こんなにいい場所なのに、何故だか、深町さんと僕しか来訪者がいないんです」


「フゥーン……そうなんだぁ」


……


「そうですよ」


そうだ。…………言えるわけがない。


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