コトノハの園で


「アァーッ!? いつもと変わんないじゃんっ」


先に到着していた桜ちゃんは、私の姿を見つけると膨れっ面。外なものだから声の大きさも遠慮がなく責めてくる。


「そうかな?」


買ったばかりの白いコートは、幾つも試着をして、付き合ってくれた親友が涙目でもう帰りたいと訴えてくるまで選んだ一品なのに。


コートの中も、とっておきのワンピースなのに。


いつもはアレンジしないセミロングも、今日はふわりと巻いてきたのに。


桜ちゃんは、私がドレスでも着てくると思っていたんだろうか。


なんて、色々と考えながら、


「見えないところがオシャレかもよ?」


囁いてみた。


すると、桜ちゃんは頬を赤らめてあたふたし、ついには黙り込んでしまった。『見えないところ』の解釈は、からかった通りの方向で素直に捉えてくれたみたいで。


……いけない。反省。中学生には濃かったみたいだ。


純な様子を目の当たりにすると、私の顔も火照ってくる。


「……桜、クッキー焼いたんだ。菜々ちゃんにプレゼントしようと思ったのにぃ……」


「ごめんっ、本当にごめんね。私も桜ちゃんにプレゼントあるんだっ」


差し出したチョコレートは、無言で受け取られた。


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