コトノハの園で


――


歩く速度は、速さを増したり止まってみたり。


お花みたいだと褒められた袴が歩く度に音を立て、それが私の緊張をさらに増長させる。


中庭への角を曲がる際、深呼吸。


もうさっきから、何度もなんども立ち止まってるからこれが最後。


時間は、永遠じゃあないんだから。


そして一歩を――。





霞んだ陽光の中、森野さんは、いつもと同じ様子でベンチに座っていた。


折り目正しい背筋。黒縁眼鏡が似合う横顔。


「――」


相変わらずの、私の大好きな人。


変わったことといえば、寒さを凌ぐアウターが若干身軽になったことくらい。ワイシャツにはあまり似合わない、濃い緑色のパーカーを羽織っていた。


「森野さんは、いつも素敵ですね」


一度、肩が大きく動き、私に気づく。


最後だからサービス? ――違う。頑張ってくれたのか、はたまた、やっと慣れてくれたのか。


今日の視線は彷徨うことなく、かちりと合った。


……恥ずかしい。


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