コトノハの園で


「ごっ、ご冗談をっ。深町さんの方が、よっぽど――お綺麗、ですね。卒業式はいかかでしたか?」


嬉しいことを言わないで。これじゃあ私、顔を上げられない。


「――、深町さん?」


「……それだけ言えれば立派なものです」


「いいえまだまだ。亀の歩み。きっと震えっぱなしなんでしょう」


「そんなことない。充分、です」


言いたいことは、簡単にはカタチにならない。


けど、こんなに困難なことだった?


「森野さん――今まで、ありがとうございました」


式典のときよりも丁寧にお辞儀をする。


「何故そんなことを。お礼を言うのは僕です」


なんてとぼけるのが上手な人。


でも、そういうところも大好きです。


「だって、結局は私のわがままに付き合ってくれてたってことだから。――分かってますよね? 森野さんにも、少しはリハビリになったかもしれない……願望ですけど。けど、大半は、私が満足してただけだなあ、って」


そういうことなんだと、思うんです。


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