大嫌いなアイツの彼女になりました。
望月相馬に復讐出来ないことは残念だけど、好きというわけではなかったから、気にせず別れられるしね。
でも……何故か、少し胸がチクチクする。
「早く帰って!もう二度とお兄ちゃんに近づくな!」
双葉ちゃんがあっかんべーをしながらそう言った。
あたしはそんな双葉ちゃんをチラッと横目で見た後、ドアの方へ向かって歩き出す。
……その時。
「……いい加減にしろ!」
そんな大きな声が家中に響いて、あたしは肩をビクッと震わせ立ち止まる。
振り返ると、視界に入った双葉ちゃんも目を大きく見開かせて微動だにしなかった。
望月相馬はそんな双葉ちゃんをキツく睨んでいる。
どうやら、さっきの大声の正体は望月相馬のようだ。
「お、お兄ちゃん……?」
「なんで……なんで、妹のお前に俺の彼女決められなくちゃいけねえんだよ!」
「っ……!」
双葉ちゃんは一瞬、顔を歪めた。
「……俺は、純香ちゃんが好きなの!誰がなんと言おうと、その気持ちは変わんねえの!」
「えっ………」
堂々と告白され、驚いてしまった。