大嫌いなアイツの彼女になりました。
「……一応、お前の為に黙ってたけど……勝負で双葉が勝っても負けても、俺は純香ちゃんと別れる気はないよ」
そう言うと、望月相馬はあたしの顔を見た。
真っ直ぐな瞳が、あたしの心を捉えて離さない。
強い言葉から、真っ直ぐな瞳から、望月相馬の意思の強さが窺えた。
「……相馬、くん」
あたしがそう呟くと、望月相馬は二カッといつもと同じ笑顔を見せた。
「うっ、うぅ………」
そんな声が聞こえたと思った瞬間、
「うえーーんっ……ヒックヒック」
双葉ちゃんが大声で泣き出した。
あたしも望月相馬も驚いてそちらを見る。
「怒られたーーっ!お兄ちゃんなんか、だいっきらーい!!」
双葉ちゃんはそう言うと、勢いよく部屋から出て行った。
間もなくして、階段を駆け上っていく音も聞こえた。
「……双葉ちゃん」
大丈夫かな?
心配だ。
さっきまであんなに強気だったのに、急に泣き出すんだもん。
心配するのも当たり前だろう。
「はあ……双葉のやつ。ごめんね、純香ちゃん」